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アレルギー予防と離乳食の始め方

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私は今年3月に出産し、子育て真っ最中の医師です。子育て方法に関しては様々な情報があふれていますが、医師である私にとっても、科学的根拠がある情報を探すのは容易ではありません。一番効果的な方法を知りたいという思いから、子どもが寝付いた後に、本や論文を調べてわかったことをご紹介します。

赤ちゃんの離乳食を始める時、心配になるのはアレルギーです。以前は、アレルギー源になりやすい食品を早い時期から食べると、アレルギーを発症しやすくなると考えられていました。育児書やネットでは、卵や動物性タンパク質はなるべく遅く始めたほうがいいと書いてあるものもたくさんあります。その影響か、昭和60年には47%もの人が5か月未満に離乳食を開始していましたが、平成17年には15.5%まで減っています。

しかし、ここ数年の研究で流れが大きく変わりました。「離乳食を遅らせたほうが良い」という考え方はほぼ覆されつつあるのです。

キングス・カレッジ・ロンドンのデュトワ博士らは、ピーナッツアレルギーに関しての研究結果を2015年の医学雑誌「The New England Journal of Medicine」に発表しました。博士らは、アトピーや卵アレルギーのある生後4か月から11か月までの赤ちゃんを、ピーナッツを摂取するグループと、ピーナッツを避けるグループの2つに分けて、5歳になったときのピーナッツアレルギーの割合を比較しました。その結果、ピーナッツを摂取したグループの方が、80%以上もピーナッツアレルギーを減らすことができたのです。

さらに2016年末、日本の成育医療センターの夏目統医師(現・浜松医科大学小児科助教)らが、卵アレルギーについての研究結果をランセット誌に発表しました。アトピーのある赤ちゃんを2グループに分け、一方のグループには生後6か月から毎日卵パウダー(ゆで卵0.2g相当)を与え、もう一方のグループには与えませんでした。1歳になったときの卵アレルギーの割合を調べると、卵を摂取したグループの方が80%近くも少ないことがわかりました。

ただし、早ければ早いほど良いかはまだわかっていません。

2016年、セントジョージ医学校のパーキン博士らのグループが「The New England Journal of Medicine」に報告した研究があります。ピーナッツ・卵・牛乳・ごま・白身魚・小麦の6つの食品を、生後3か月から開始するグループと、生後6か月以降に開始するグループを比較し、1歳から3歳までの間のアレルギーの発症率を調べました。この研究では、卵とピーナッツを早くから開始した方がアレルギーが少ない傾向は示されたものの、完全には証明されませんでした。

現時点では、「アレルギーが心配される食品を食べるのを遅らせない」のが良いと言われていますが、具体的にいつから何を食べさせれば良いのでしょうか。

厚労省のガイドラインでは、離乳食は5~6か月から始めることになっています。離乳食初期は「つぶしがゆからはじめ…慣れてきたら、つぶした豆腐・白身魚などを試してみる」となっていて、卵や小麦、乳製品を始める具体的な時期は書いてありません。

WHOのガイドラインでは、離乳食(補完食、という表現が使われています)を始めるのは早くても4か月、できれば6か月からです。主食と組み合わせて、豆類・動物性食品・緑黄色野菜と果物・油脂や砂糖を食べさせる、と書かれています。こちらも具体的な時期は書いてありません。

ただし、WHOが6か月からの離乳食を勧めているのは、離乳食を始めることによって、赤ちゃんが飲む母乳の量が減る可能性があるからです。母乳を飲む量が減ると、カロリーの低い離乳食でお腹いっぱいになって十分な栄養を摂取できなくなったり、母乳の分泌量が減ったり、お母さんの妊娠の心配があります。これは確かに重要な問題ですが、アレルギーの予防とは関係ないのです。

成育医療センターの研究者は、アトピーやアレルギーのない赤ちゃんについては、「5か月頃から離乳食を始め、6か月頃から卵を食べさせる」のが理にかなっていると考えているようです。研究で使用された卵パウダーは、ゆで卵に換算して0.2gの量です。卵1個が60g程度なので、ほんの少しの量でよさそうです。また、日本ではピーナッツアレルギーは少ないですが、先に述べた研究結果からは、ピーナッツペーストも少量ずつ早めに食べさせてもいいかもしれません。その場合、市販のピーナッツバターは砂糖がたくさん入っているものも多いので、成分をよく見て選んで下さい。

我が家では、結局5か月頃から離乳食をはじめて、慣れてきた頃からヨーグルトや卵などを少量ずつ食べさせました。赤ちゃん本人の食欲にもよりますが、最初は様々な食品に慣れさせることが主な目的です。特に6か月未満の赤ちゃんは離乳食は少量でよく、母乳やミルクでしっかり栄養を摂取するのが良いと思います。もちろん、既にアトピーやアレルギーの診断を受けている方はかかりつけ医の指示に従って下さい。

離乳食の進め方は国によっても大きく違います。お粥、野菜、豆腐、白身魚という順番や、1回食から始めて回数を増やすというやり方は、日本独特のものです。ポイントをしっかり押さえたら、後はあまり細かいことは気にせず、楽しく進めていきたいですね。

参考:

厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/s0314-17.html

WHO  Guiding principles for complementary feeding of the breastfed child

http://www.who.int/nutrition/publications/infantfeeding/a85622/en/

国立成育医療研究センター『離乳期早期の鶏卵摂取は鶏卵アレルギー発症を予防することを発見』

https://www.ncchd.go.jp/press/2016/egg.html

週間医学界新聞『小児食物アレルギーの予防 最新の知見から』

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03222_02#bun

Du Toit G, Roberts G, Sayre PH, et al. Randomized trial of peanut consumption in infants at risk for peanut allergy. N Engl J Med 2015; 372: 803–13.

Perkin MR, Logan K, Tseng A, et al. Randomized trial of introduction of allergenic foods in breast-fed infants. N Engl J Med 2016; 374: 1733–43.

Natsume O, Kabashima S, Nakazato J, et al. Two-step egg introduction for prevention of egg allergy in high-risk infants with eczema (PETIT): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 2017; 389: 276-86.

(2017年9月11日「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)

Source: ハフィントンポスト

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genki

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 小学校元教諭。6年間、教壇に立つが日々追われる実務、長引く会議、閉塞的な職場に、次第に心が疲弊していく。やがてブラックな職場で自殺願望すら生まれ、このままでは死ぬ前に後悔する人生になってしまうと思い退職を決意。小学校の先生を辞め、自力で稼ぐと決断する。
 そして、幸運な事にビジネスの権威と出会う機会に恵まれ、直接指導を受ける機会を得る。この決断がたった1つの奇跡的な出会いを引き寄せ、その後は師に教わったビジネスノウハウをひたすら実行し続け会社の発展に至る。
 会社設立から3年後、デンマークで最高峰の働き方が実施されている企業を現地視察。管理職、社員が共に幸せになれる8つのエッセンスを欧州より持ち帰り、自身の会社を通して日本中に広めようと奮闘中。
 埼玉県さいたま市出身。既婚。早く子供が欲しく妊活真っ最中の1983年5月生まれ。趣味は空手、柔術、ウクレレ、食べること、バターコーヒー。好きな言葉は下座達観。

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