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「Netflix、みるのやめて!」10歳離れた妹とわたしをつないだ安いプラン

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リセットボタンとペット

「きょうだいができるかもしれない」って母から知らされた時、私は泣いて悲しんだ。

リセットボタンがあるなら、産むのはやめてほしい、と。当時9歳だった。

一人っ子が居心地よくて、両親の愛情が半減することを恐れた。母親をかなり困らせたと思う。

リセットボタンなんて押すわけなく、妹は予定日ぴったりに順調にこの世に誕生した。

10歳離れた妹が、我が家にやってきた。

あんなに妹の誕生を嫌がっていた私は、その小さな生き物にコロッと恋をした。

オムツ替えも、お風呂も、ミルク作りも、寝かしつけも、なんでも積極的に手伝って1分でも一緒にいたいと思った。

学校が休みの時は、幼稚園まで迎えに行って他のお母さんたちにジロジロ見られた。もう1人お母さんがいるみたいだね、って言われるのが嬉しかった。

妹というより、新しいペットを飼っている感覚だった。とにかく可愛くてしょうがなくて、リセットボタンなんて言った自分が恥ずかしかった。

自分が母親だと勘違いしていた頃

別居とハグ

妹が8歳の時、私は18歳。大学に通うために家族と離れて暮らすことにした。当時、家族は父の転勤でインドネシアにいて、私は日本の大学を受験した。そこから現在に至るまで、妹とは別々に暮らしている。

結局妹と暮らしたのは、8年間だけだった。ペット感覚で可愛がっていた8年間だから、ちゃんと話せるようになってからは、一緒に暮らしたことがない。

それでも、私は妹の特別な存在でいたかった。海外生活が子どもにとってストレスだということも知っているし、自由なインターナショナルスクールと、保守的な親の間で苦しむ経験も知っている。私は、親でもない、友達でもない、ちょっと変だけど、たまに話を聞いてほしい人として妹と接したかった。

そんなかっこいいことを言っても、現実は妹と話す機会を失うばかりだった。社会人になって毎日のように遅くに帰って、正直妹の存在も忘れる時もあった。仕事が辛くて、妹に泣きついたこともある。

もう妹は、私がハグしてもハグし返してくれるくらい大きくなっていた。

悲鳴とロンドン

ある時、母親からLINEで電話がきた。「えりな(妹)が、苦しんでる」。

彼女のストレスはいつの間にかピークに達していて、その悲鳴はその瞬間まで誰も聞こえなかった。

私は急いで上司である編集長に事情を話して、1週間の休みをとらせてもらった。冬休みに妹とロンドンに行くことにした。特に本人から事情は詳しく聞かなかったけど、一緒にいたら彼女もちょっとは楽になるのかなと想像した。

ロンドンで留学中の友人と妹

ロンドン旅行は彼女にどんな影響を与えたかも聞かないまま、また妹との連絡が途絶えた。忙しい、は言い訳に過ぎない。お互いのインスタに「いいね!」を押したり、ストーリーを見たりするだけの関係になった。

Netflixと卒業

もう、家族とは言えないくらい会話もなくて、連絡が途絶えていたけど、最近また話すようになった。それは、Netflixがきっかけだった。妹がNetflixを見たくて、私にアカウントを追加するように連絡してきた。

私は、Netflixの一番安い月額650円のベーシックプランを設定していて、アカウントは5人まで増やせるが同時視聴は1人だけだ。つまり、日本にいる私と海外にいる妹が同じ時間に視聴することはできない。

わたしと彼氏と妹と共有している

視聴しようとすると、こんな画面になる。

お客様のアカウントを共有しているユーザーが多すぎます。

時差があるにもかかわらず、私たちは時間帯が被った。見たい番組を楽しみにしていた私は、ちょっとイラっとしながらもLINEで妹に電話する。

「Hey! Stop watching Netflix!(ちょっと、私見るんだから、止めてよね!)」

「どうせテラスハウス見るんでしょ?」

「悪い?」

こんな会話からスタートする。他愛もないやりとり。でもそれが長引く場合もある。母親の悪口、テストの結果、仕事の愚痴、イケメンについて…。きっかけが見つからなくて滞っていた連絡も、簡単に飛び越えた。

妹は前より元気そうだし、よく笑った。私自身が妹の明るさに救われる。簡単なきっかけでいいんだ。私たちは、もうお互い別々の人生を送っているけど、たまに連絡するくらいがいい。そして、気が向いたら一緒に旅行する。

妹は今年高校を卒業して、イギリスに行く予定だ。これからもきっと一緒に住むことはないだろう。

私はこれからもNetflixの一番安いプランを変えるつもりはない。世界のどこかで同じ時間に妹も同じものをみている。それを想像するだけでなんだか、嬉しくなる。

あの画面を見ると、「I’m always by your side(いつもそばにいるよ)」って言われているみたいだ。イラっとしながら、また電話したくなる。

「Hey! Stop watching Netflix!」

「最近、かっこいい人いる? Facebook教えてよ」

妹との馬鹿な会話は今日も止まらない。

妹の卒業式にて

ハフポスト日本版は5月に5周年を迎えました。この5年間で、日本では「働きかた」や「ライフスタイル」の改革が進みました。

人生を豊かにするため、仕事やそのほかの時間をどう使っていくかーー。ハフポスト日本版は「アタラシイ時間」というシリーズでみなさんと一緒に考えていきたいと思います。「 #アタラシイ時間 」でみなさんのアイデアも聞かせてください。

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Source: ハフィントンポスト

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著者紹介 著者一覧

genki

genki

 小学校元教諭。6年間、教壇に立つが日々追われる実務、長引く会議、閉塞的な職場に、次第に心が疲弊していく。やがてブラックな職場で自殺願望すら生まれ、このままでは死ぬ前に後悔する人生になってしまうと思い退職を決意。小学校の先生を辞め、自力で稼ぐと決断する。
 そして、幸運な事にビジネスの権威と出会う機会に恵まれ、直接指導を受ける機会を得る。この決断がたった1つの奇跡的な出会いを引き寄せ、その後は師に教わったビジネスノウハウをひたすら実行し続け会社の発展に至る。
 会社設立から3年後、デンマークで最高峰の働き方が実施されている企業を現地視察。管理職、社員が共に幸せになれる8つのエッセンスを欧州より持ち帰り、自身の会社を通して日本中に広めようと奮闘中。
 埼玉県さいたま市出身。既婚。早く子供が欲しく妊活真っ最中の1983年5月生まれ。趣味は空手、柔術、ウクレレ、食べること、バターコーヒー。好きな言葉は下座達観。

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