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37歳で野球をやめた。元プロ選手は、第2の人生をクリケットにかけた「野球を活かせる場を作りたい」

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木村昇吾さん

プロスポーツの世界は厳しい競争にさらされる。トップ選手として活躍できるのはごく一部で、平均引退年齢が20代である競技も珍しくない。引退後のセカンドキャリアが課題に挙げられている。

2017年10月にプロ野球選手を引退した木村昇吾さん(37)は、野球を離れても新たなスポーツの舞台に挑んでいる。元日本プロ野球選手として初めてクリケットに転向。海外でのプロリーグ入りを目指している。

野球の原型とも言われるクリケットへの転身をなぜ決意したのか。プロスポーツ選手のセカンドキャリアなどについて、木村さんに話を聞いた。

37歳で戦力外通告。クリケット転身のオファーに迷わず「やる」

木村さんは2003年、横浜ベイスターズに入団。広島カープを経て、16年に西武ライオンズに移籍したが、翌17年10月に戦力外通告を受けた。12球団合同のトライアウトを受けたが、声がかからなかった。

「自分の中では体も動くし来年もいけるという感覚しか残らなかったんですけど、評価は周りがするので、それが現実なんだなと(受け入れました)」

そんな時、知り合いを通じてクリケット選手への転身の話が舞い込んできた。クリケットは野球の『原型』と言われているが、ルールや必要な技術も異なる。プレー経験が一切なかったにもかかわらず、木村さんは迷わず「やる」と即答した。

「(現役の時は)まさかクリケットをやるとは思っていませんでしたが、これも縁ですし、プレーヤーとしてチャレンジさせてもらえるのはありがたいことです。野球を情熱を持って突き詰めた後、同じ気持ちや熱量でできることはそうそうないです。しかも、野球の経験を活かせる。やらない手はないです」

クリケットと野球は「似て非なるもの」

クリケットは、イギリス発祥の球技。1チーム11人でプレーし、野球と同様、それぞれが攻撃(打撃)と守備を交互に繰り返す。

試合は、グラウンド中央の2箇所にウィケットと呼ばれる柱を立て、そこに投手と打者が向かい合う形で行う。ボールを打った後、打者とパートナー(投手側のウィケットの付近で待機)がそれぞれ反対側のウィケットまで走り、返球が来る前にたどり着けば1点となる。

逆に、守備側がそれより先に返球でウィケットを倒したり、打球をノーバウンドでキャッチしたりすればアウト。

また、打球がグラウンド(横約140メートル、縦約130メートル)の境界線をゴロで越えると4点、ノーバウンドなら6点が与えられる。

ファウルはなく360度どの方向でも打つことができるほか、投手は打者が打ちにくいよう、ワンバウンドさせて投球するなど、野球とは異なる点は多い。

「素手でボールをとったり、三振やファールがなかったりするところが全然違いますよね。なかなかアウトにならない競技ですし、もちろん類似するところもたくさんありますけど、似て非なるものというところも多いです」

さらに特筆すべきなのは、試合時間の長さ。1試合7時間ほどのワンデー形式が主流だが、約5日間かかるテストマッチも人気だ。

海外トップ選手は30億円を稼ぐ

クリケットはイギリスやインド、オースラリアなど、英連邦諸国を中心に親しまれている。競技人口はサッカーに次いで世界2位。海外のトップ選手は30億円を超える年収を稼ぐ。

インドと南アフリカの試合

日本は対照的に、プレー環境が十分に整っていない。アマチュアリーグしかないため、木村さんは海外リーグでプロとしてプレーすることを目指している。

そのためにまず、日本代表に選ばれる必要があるという。3月に開かれる選考会に受かったら、選考委員として招集する予定のコーチの助けを借りて、オーストラリアに渡ることを考えている。そこで武者修行し、現地のチーム加入に繋げたい考えだ。

「今までプロ野球で何千万というお金をもらっていたようにはいかないのは分かっています。でも、10億や30億を稼ぐインド、オーストラリアのトップ選手を目指さないと、何のためにやっているんだという気持ちもあります。動画などを見せてもらって、いけるんじゃないかなという気もしています」

現在はクラブチームに所属して試合などの実践経験を積みながら、月1回の頻度で開かれている日本代表の練習にも参加させてもらっている。

1月の代表の練習では、年が一回りは違う若手選手に混ざってプレー。自ら積極的にアドバイスを求める姿もあり、「ちゃんとルールとかも分かっておかないといけないですし、クリケット自体を肌で感じて、頭を使って自分の中にどんどん入れて行きたいです」と意気込みを見せた。

練習に参加する木村さん(右奥)

クリケットで稼げる環境、日本に根付かせたい。

日本クリケット協会の上原良崇さんによると、これまでにプロクリケット選手になった日本人はいない。さらに、日本プロ野球界からクリケットへの転身も過去に例がない。

日本代表のコーチを務めるオーストラリア人のドゥーグル・ベディングフィールドさんも、「彼のようなキャリアは海外でも聞いたことがなく、誰も成し遂げたことの大きなチャレンジです」と説明。

木村さんの素質や取り組みの姿勢を高く評価しているが、プロ入りの可能性については「答えは分かりません。今後どうなるかは、見守るしかないですね」と明言を避ける。

ベディングフィールドコーチの指導を受ける木村さん

ハードルが高い分周囲からの期待も大きいが、木村さんは自分が活躍・成功することで、日本人がプロを目指せるスポーツの選択肢を広げたいと考えている。

「日本人のほとんどがクリケットを知らないところを、今回こうやってメディアに出させてもらうことで、みんなが『何それ』と検索してくれます。まず発信していく役割を担いたいです」

「僕が成功例になって、クリケットに興味を持つ人や競技人口が増えたりと、後が続かないと意味がありません。それから、クリケットでお金を稼げるようにならないといけない。海外にマーケットはありますが、日本はまだまだなので、稼げる環境やシステムをいかに根付かせるかも今後の課題です」

クリケットの日本代表

プロ野球のセカンドキャリア

選手寿命が短いプロスポーツ選手にとって、引退や戦力外通告となった後の「セカンドキャリア」は大きな課題だ。だが、専門性の高い職業な上、特殊な環境のため一般的な社会経験や知識が乏しく、他の職種に移るは難しい。

何らかの形でそのスポーツに関わり続ける人も多いが、プロ球団のコーチなど第一線で活躍できる人は限られている。

日本野球機構(NPB)の調査によると、プロ野球で2016年、引退・戦力外通告になった選手は125人(平均年齢29.6歳、平均在籍年数8.5年)。そのうち約70%(88人)が野球に関わる仕事に就いたが、プロ球団のコーチは8人、野球解説者は6人にとどまる。

一方、野球を離れて一般企業への就職や自営業をする人は12%(15人)、未定と回答した人が17.6%(22人)だった。(2017年5月8日時点)

プロ野球界が抱えるセカンドキャリア問題の背景について、木村さんは次のように語る。

「野球しか知らず、精神面や考え方が成熟していない子どもたちが、若くしてお金をもらえてしまう。もちろん彼らが努力した対価であるとは思いますが、お金の使い方も普通の感覚とは違います」

「どうしても世間の常識とはかけ離れてしまい、(引退後に)うまく社会に適合するのが難しいところがあります。人間的にちゃんとできるかどうかが大事です」

一方で、今回の木村さんの挑戦は、プロ野球選手のセカンドキャリアの開拓につながる可能性を秘めている。

「(日本には)野球という最もポピュラーなスポーツがありますが、高校、大学、社会人、プロだって(いつか)辞めざるを得なわけじゃないですか。そうなった時に第2のスポーツとしてクリケットがあるという風になればいいなと思います」

「今までは野球を断念した人の行き先がありませんでした。野球に携わってきたことを活かせる次のチャレンジの場を作りたいです」

Source: ハフィントンポスト

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著者紹介 著者一覧

genki

genki

 小学校元教諭。6年間、教壇に立つが日々追われる実務、長引く会議、閉塞的な職場に、次第に心が疲弊していく。やがてブラックな職場で自殺願望すら生まれ、このままでは死ぬ前に後悔する人生になってしまうと思い退職を決意。小学校の先生を辞め、自力で稼ぐと決断する。
 そして、幸運な事にビジネスの権威と出会う機会に恵まれ、直接指導を受ける機会を得る。この決断がたった1つの奇跡的な出会いを引き寄せ、その後は師に教わったビジネスノウハウをひたすら実行し続け会社の発展に至る。
 会社設立から3年後、デンマークで最高峰の働き方が実施されている企業を現地視察。管理職、社員が共に幸せになれる8つのエッセンスを欧州より持ち帰り、自身の会社を通して日本中に広めようと奮闘中。
 埼玉県さいたま市出身。既婚。早く子供が欲しく妊活真っ最中の1983年5月生まれ。趣味は空手、柔術、ウクレレ、食べること、バターコーヒー。好きな言葉は下座達観。

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