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サンタさんが思い出させてくれた「良い子」の条件

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新年あけましておめでとうございます。

昨年の今ごろは不登校の負い目から引きこもり気味だった娘も、おかげさまで今年の正月は一人でバァバの家にお泊りに出かけ、従妹と元気に凧揚げをしている様子が先程LINEで送られてきました。中学受験に向けて追い込みに入っている小学6年生も頑張っていることと思いますが、娘は北風と格闘しています。

年末、ちょっと気になるニュースが流れてきました。

見えない虐待 親が子どもに過剰な期待|NHK NEWS WEB

教育熱心な家庭で、親が子どもに過剰な期待を寄せ、虐待へと発展していった様子を描いた『父の逸脱──ピアノレッスンという拷問』という一冊の本にまつわる取材です。我が国でも、最近は習い事や受験勉強などで子どもが忙しくなっているという噂も聞きます。親が「良かれ」と思って子どもに手間暇・時間・お金を投資すれば、子どもも何とか親の期待に応えられる「良い子」になろうと、投資に見合うだけの結果を出すべく努力するでしょう。ただ、行き過ぎた「期待の暴走」で逆に子どもを苦しめていないか、親としては常に自省したいたいものです。

ところで、そもそも「良い子」って何でしょう?価値観が多様化・相対化したといわれる現代においては、〈これが「良い子」だ〉という共通の条件などあるのでしょうか。

あるいは、「よそはよそ、うちはうち。あなたは習い事だけに集中してればいいの。いいからお前は受験勉強を頑張りなさい。」などと、その家庭ごとに「良い子」の基準も異なるのだ、という意見もあり得るでしょう。

しかし、問題はそれほど単純ではありません。前回の記事で、サンタクロースの実在性を改めて問い直しましたが、そのサンタさんからプレゼントをもらえるのは「良い子」であるとされているからです。

サンタクロース(英: Santa Claus)は、クリスマス・イブに良い子のもとへプレゼントを持って訪れる人物。( サンタクロース – Wikipedia

Santa Claus … is said to bring gifts to the homes of well-behaved (“good” or “nice“) children… .( Santa Claus – Wikipedia

「サンタクロースなんていないさ」と考えているならともかく、信じている子ども達にとっては、〈果たして我が家の「良い子」の基準は客観的に妥当なのか?〉もしくは、少なくとも〈我が家はサンタクロースと「良い子」についての価値基準を共有できているのか?〉は切実な問題です。何しろクリスマスにプレゼントをもらえるか否かが掛かっているのですから。

「サンタクロースは実在するか 2017」(小包中納言物語 – AS Loves Insects -)

また、これは親としても悩ましい問題です。先のニュースのように「良かれ」と思って躾け育てる際に参照すべき価値観について、普遍性も社会的な合意もなく、その人その親任せだとしたら、自らの「期待の暴走」をどうやってチェックすればよいか、暗中模索するしかないからです。子どもが成人してから「実はずっと辛かった、あれは虐待だ」として『父の逸脱──電子工作という拷問』などという告発本を出版されようものなら、たまったものではありません。*1

こういうときは、ご本人の言説という一次資料を参照するのが最も確実です。幸い、今年もサンタクロースの実在性を信じる我が家には、はるばるフィンランドのロヴァニエミから、クリスマスの数日前に、プレゼントの予告状が娘宛に届きました。その手紙の中から、「良い子」について言及した一説を引用します。*2

君は知っておるかのう?ここ北極圏に住んでる妖精たちの名前は、彼らの役割とか仕事場に因んで名付けれられてるおるんじゃ。

この家では、「ベイカー」は甘くて美味しいスイーツをみんなに作ってくれるし、「ホーム」はツリーを飾ってくれる。家畜小屋という意味の「ステイブル」は動物たちの世話をしてるくれるし、「ワークショップ」はサンタ村の働き者で、良い子たち (nice children) と良い大人たちにプレゼントを準備してくれるんじゃ。暖炉のそばでアコーディオンを弾いて歌っている妖精もおる。なに、そいつだけ怠けてるのかって?実は彼の名前は「ミュージシャン」といってな、わしらのクリスマス魂を盛り上げるという大事な役目があるんじゃ。ここでは、みんなに、それぞれ自分の役割というものがあるんじゃよ。

ところで、君の家ではどうかね?

つまり、「サンタクロース村では、みんな家の中で決まった役割を分担しているよ」と、いわば「みんなお手伝いしているよ」と述べた上で「君はどうだい?」と問い掛けているのです。したがって、この手紙の引用部分が「お手伝いする子」⇔「良い子」という価値判断を含意していることは、文脈から自明です。世界中の子どもたちに、はるか昔から変わらずプレゼントを届けているサンタクロースがこう書いてくるのですから、「お手伝い」は古今東西の文化・社会に共通する「良い子」の普遍的な条件であるともいえましょう。

ROCKETの面接で娘が問われたこと

東大先端研と日本財団による異才発掘プロジェクト「ROCKET」相談会に行ってきたことは、以前の記事にも書きました。その後、娘本人もこのプロジェクトに強い興味をもち、試しに応募してみたところ一次審査を通過して、面接審査を受けることになりました。

ROCKETは、応募手続きも申請書類の内容も、原則として参加する本人の意志によります。なので、迎えた当日も面接官との受け答えは全て娘に任せており、詳細は覚えていないのですが、一つだけ印象に残ってる質問があります。ディレクターの中邑賢龍教授からの「君は家で何かお手伝いしてる?」という問い掛けです。我が家で娘の役目は「お風呂を洗って沸かすこと」です。娘がそう答えると、「毎日やってるの?」と中邑教授。娘が「土日以外は毎日……」ともじもじしていると、こう言われました。

それはとっても大事なことだ。でも、お手伝いは毎日やったほうがいい。ものごとは、毎日続ける中にこそ、初めて見えてくる世界がある。 おじさんも子どもの頃、お風呂洗いの係だった。湯船はお湯なんかで洗っちゃダメだよ。やっぱり水で洗わなきゃ。水で洗うとね、季節によって水温が変わるのが分かる。夏はぬるくなるし、冬は指が痛くなるほど冷たい。そうやって季節というものを、自然の時間の流れというものを、体で分かっていくんだよ。

大体このような趣旨だったと記憶しています。この日の娘と先生の問答は、正直そこまで重要だと考えていなかったのですが、先日のサンタさんからの手紙で再び「お手伝い」の重要性が語られたことで、忘れかけていた面接当日の記憶が呼び起こされました。

ROCKETの目指す目標の一つに、「ユニークな子どもたちをもっと自由に、学校教育に依存せずとも生きていけるだけの逞しさと、突き抜ける力を身に着けてもらうこと」があるそうです。確かに、歴史を振り返ってみても、長らく子どもは家族にとって貴重な労働力でもありました。私の母や祖母からは、炊事や掃除などの家事手伝いのほか、野良仕事、乳搾り、お蚕さんの世話に至るまで、昔の大家族では兄弟姉妹それぞれに、各自決まった「お手伝い」が配分されていたと聞かされたものです。人類は、子どもの生きていく力を、「お手伝い」をさせることで育んできたとも言えるでしょう。(もちろん、産業革命期や今なお一部の途上国に残るような、子どもの権利を無視した過酷な児童労働は論外です。)

ある調査によると、何かしら「お手伝い」をしている中学1年生は7割ほどで、それが中2・中3になると5割程度に落ち込むそうです。高校入試に向けた受験勉強を優先するからでしょうか。報告をさらに詳しくみてみると、子どもが「お手伝い」をする頻度が「ほぼ毎日」という家庭は、わずか24.8%とのことです。*3 また別の調査では、7割近くの母親が子どもに「お手伝い」をさせていると答える一方、させていない3割の親子には「手伝いをさせようとしてもいうことをきかない」「勉強、塾、部活などが忙しく帰宅が遅かったりするとなかなか手伝いをさせられない」という背景がある、との分析もあります。*4 もちろん、勉強、塾、部活などに打ち込む経験も貴重なものですが、親の行き過ぎた「期待の暴走」ゆえに、子ども本来の逞しさや生きていく力の育成が後回しになってはいないか。書店に並ぶ家庭教育雑誌の表紙に、子どもの受験や習い事での成功を目指す見出しばかりが踊っているのを眺める度に、一抹の不安がよぎります。

娘にとっての「お手伝い」の効果

先日、娘がこんなことを言い出しました。

パパ、お手伝いっていいね。パパもママもいつも疲れて具合が悪いから、わたしがお手伝いをすれば、ふたりともイライラしなくなって、家の中が平和になる。それに、今まで「子どもは何も経済的に利益を生み出さない、養われるだけの存在」だと思ってたけど、お手伝いを続けてみて、ようやく家族の一員になれた気がするよ。

正直、この功利主義的な言い回しには驚いてしまいましたが、娘なりに、学校へも行かず、働きもしないで毎日過ごす中で、自分の存在意義について煩悶していたのでしょう。学校でも友達とうまくコミュニケーションがとれず、不登校生活も長引く中で、自尊心が深く傷ついてしまったことも、日頃の言動からもよくわかります。

もちろん、親にとって子どもは、そこにいるだけで大きな幸福感をもたらしてくれる存在です。また、利益を生み出すことだけが人間の存在意義でないことは言うまでもありません。ですが、そうした価値基準とはまったく別の次元で、この「お手伝い」という具体的な行為の習慣化は、娘の失われた自尊心を徐々に回復するのに大いに貢献したようです。

一人立ちを始めた娘の背中を後押しするにあたり、親として子どもに何を期待し、何を目指すべきか。サンタクロースと中邑教授からの問い掛けから、改めて考えさせられた次第です。

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(プレゼントは娘の大好きなゲーム Monument Valley 2 のグッズと マイクラ+LEGOのコラボでした)

追記

自閉症(スペクトラム)の子どもの家庭教育の一環として「お手伝い」を活用する際には、こちらの記事が参考になります。

お手伝いでママの気持ちもピカピカに!自閉症のある息子と家事手伝い【LITALICO発達ナビ】

*1:あくまで「例えば」の話です。電子工作が拷問だと言っているのではありません、念のため。

*2:プライバシーに関わるため画像には加工を施してあります。

*3:わが子のお手伝い面白エピソード「台所のガスの番、ホントに”見てるだけ”」 | ニュースリリース | 日本生活協同組合連合会 およびニュースリリース(PDF)

*4:「子どもの手伝い」に関する調査結果 /ドゥ・ハウス(DO HOUSE)

(2018年1月2日 AS Loves Insects – 小包中納言物語「サンタさんが思い出させてくれた「良い子」の条件」より転載)

Source: ハフィントンポスト

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著者紹介 著者一覧

genki

genki

 小学校元教諭。6年間、教壇に立つが日々追われる実務、長引く会議、閉塞的な職場に、次第に心が疲弊していく。やがてブラックな職場で自殺願望すら生まれ、このままでは死ぬ前に後悔する人生になってしまうと思い退職を決意。小学校の先生を辞め、自力で稼ぐと決断する。
 そして、幸運な事にビジネスの権威と出会う機会に恵まれ、直接指導を受ける機会を得る。この決断がたった1つの奇跡的な出会いを引き寄せ、その後は師に教わったビジネスノウハウをひたすら実行し続け会社の発展に至る。
 会社設立から3年後、デンマークで最高峰の働き方が実施されている企業を現地視察。管理職、社員が共に幸せになれる8つのエッセンスを欧州より持ち帰り、自身の会社を通して日本中に広めようと奮闘中。
 埼玉県さいたま市出身。既婚。早く子供が欲しく妊活真っ最中の1983年5月生まれ。趣味は空手、柔術、ウクレレ、食べること、バターコーヒー。好きな言葉は下座達観。

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